孤独な戦い

凄い雨風ですね。

今朝、大雨の中
息子を学校の途中まで送り、
帰宅している時の出来事です。

「ガシャン!!!」
「キャーーー!!」ほぼ同時にその音は聞こえました。

私の歩く左手の坂で、
何かが倒れています。

ハッとしました。
走っていた車も止まりました。

雨がっぱを着た女性が電動自転車と
倒れています。


私はすぐにかけつけました。

電動自転車の前カゴとサドルには荷物をいっぱい積んでおり、
尚且つ後ろの椅子にはレインカバーをかけている。
もしかして、、、、

3歳くらいの女の子が乗っている。
泣いてない。

お母さんも
「○○ちゃん!○○ちゃん!」と叫んでいる。

自転車は横に倒れたまま。
その女の子が動いたのが見えました。
そして、しっかりと目を開けていること、
びっくりした顔をしていることが確認できました。

「女の子は大丈夫だ」
そう思いました。


自転車を起こそうにも、
このお母さんの電動自転車は27から28キロあるタイプ。
そして沢山の荷物に、
3歳くらいの女の子。
とても思いし、地面が滑る。
二度と倒す訳にはいかない。

大雨の中、2人で慎重に
自転車を立ち上げました。

そこに、車から男性も降りてきてくれました。
ほんの数秒のことかもしれないけど、
とても長く感じました。

女の子は何が起こったのかをやっと把握したのか、
私たちが
「大丈夫??」と何度も聞くので、
急に泣き出しました。

腕がほんの少しだけ赤くなってましたが、
意識はしっかりしており、
ヘルメットもかぶっておりました。

お母さんが、散らばった荷物をまとめて
「すみませんでした、すみませんでした、、、」と何回も私に頭を下げられます。

私は、
「お母さんは大丈夫ですか?」と聞きました。

そして、
「私も同じように働いていたので、
わかります。お母さん、大丈夫ですか?」
と。

あえて私は
お母さんが大丈夫か?を聞きました。

女の子が大丈夫なのはわかったんです。
そして、
瞬間的にお母さんは女の子を庇ったんだということもわかりました。

どうかお母さんがご自身を責めないように。
そんな思いで

「お母さんは大丈夫ですか?」

と私は聞きました。



話は7年前くらいでしょうか。
私の話です。

その日はクリニックの仕事が忙しくて
帰りが遅くなりました。
急いでクリニックに併設している保育園に
息子を迎えに行きました。

そして、電動自転車の後に息子を乗せて、
急いでスーパーに向かいました。

私はクタクタでした。
でも気持ちは焦ります。
翌日も仕事だったから、
早くご飯を食べさせて、
息子を早く寝かしてあげたいと思っていました。

スーパーでは沢山買い物をしました。
主人は休みなら買い物に行ってくれますが、そもそも、週末は仕事で平日の帰宅はとても遅い。

なので、私は何日か持つように沢山買い物をする習慣がありました。
そして、使い切ってから次の買い物に行くという、
スリリングな生活をしていたため、
その日はどうしても買い物して帰らないと食べるものがなかったのです。

なので、大荷物でした。

息子を電動自転車の後に乗せ、
前カゴには買い物したものをいっぱい乗せて。


私の電動自転車は今日のお母さんと同じ27キロくらいあるタイプのものでした。
そして、息子は大きかったので15キロくらい。
買い物も欲張ってしまったので、
5キロくらいはあったかもしれません。



いつもは登れるはずの
「上野坂」。

その日はクタクタだったからでしょうか。
荷物が多すぎたのでしょうか。


バランスを崩しました。


「倒れる!!!」

思ったのと同時に、
身体は必死に自転車を支えますが
38歳、クタクタの私には
全部で50キロ近くある重さの自転車を支えることができません。

そうして、息子ごと自転車は倒れました。


息子を守れなかった自分がとても申し訳なかったし、
なんて母親なんだ。最低だ。
と自分が母親失格のように感じました。


ただ、倒れてはしまったけど、
息子は大きな怪我には至らなかったのです。

倒れたけど、
本能で最後まで、
息子が乗っている場所は支え続けたのです。
そして、ゆっくりと倒れていったのです。


なので、今日のお母さんも同じように思いました。

女の子を最後の最後まで支えておられたからこそ、
あんな坂で倒れているのに、
女の子には怪我がなかったのだと。


そのお母さんは
沢山の荷物とお子さんを連れて
保育園に向かって行かれました。


今日は月曜日。
保育園に行くのに一番荷物が多いんです。

大雨で、
お母さんのお化粧をされたお顔はびしょびしょです。

最近は
お父さんが保育園の送り迎えをされているお姿もよく見かけますが、
それでも、
お母さんが圧倒的に多いです。
(アメリカから帰国されたお母さんによると、アメリカではお父さんの送り迎え率はめちゃくちゃ高いそうです)

お母さんは
雨の日も変わらず沢山の荷物と、
お子さんを乗せて保育園に寄ってから、
お仕事に向かわれるわけです。

今日の写真。

久しぶりに先日、
カッパを着て自転車に乗ったんです。

びっちゃびっちゃになったので、家には入れず玄関に引っ掛けたんですが。

ふと、カッパ着て、
息子とクリニックに通っていたあの頃を思い出し、
「私、めちゃくちゃ頑張ってたし、
今、ほんと、楽になったな、、、」
と感じた記念に撮影しました。

同じような生活、
今の私に出来るのだろうか?とも思いました。


子供が大きくなるに連れて、
悩みも変わり、大変さは変わるのでしょうが、
やはり私は
自転車に子供を乗せないといけない年頃の
育児は
大変だと思っています。
特に体力的にも、時間的にも。

誰も褒めてくれない。
とても孤独です。

今日のお母さんを見送ったあと、
歩きながら、
私はふと、泣けてきました。


4年前に助産院を開業し、
私は随分と自由な働き方が出来るようになりました。

でも、それはとても恵まれたことで、
多くのお母さんは決まった時間に出勤し、
決まった時間まで働かないといけない。

そして、帰宅したら山積みの家事と、
お子さんのお世話。

私が歩きながら泣けてきたのは、
自分も息子と自転車で倒れてしまった日のことを思い出したこと、
それ以外に、
勝手にそう思ってるだけかもしれないですが、
孤独なお母さんの戦いを目の当たりにしたのもあるんだと思います。


あのお母さん、
ご自身を責めてなかったらいいのにな

女性が仕事しても、
当たり前に育児と家事は女性がするものいう風潮があるよな

どうしたら、
家事も育児も仕事もパンパンで働いてるお母さんが楽になるのかな

そんなことを考えながら、
いつもより遠回りして
大雨の中を帰りました。


それぞれのご家庭のルールや事情があるので、
一概にこれが良い方法というのは
ないのはわかってはいるのですがね。

ただ、お母さん方にはお元気でいて欲しいし、
ご自身を労るお時間を作ってください。
作ってもいいんですよとお伝えしたいです。

































あいちょ助産院

みんなちがって、みんないい

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