ババドックが来る!
恐ろしい写真を失礼します。
「ババドック 暗闇の魔物」
ホラー映画です。
Amazonプライムで観れます。
オーストラリアの映画で、
監督は女性です。
この映画は男性には撮れなかっただろうと思います。
ホラーなのに、
私には全然怖くなかった。
あまりに主人公に共感してしまったというのでしょうか。
ただ、もし観られる場合には、
主人公の方に本気で感情移入しすぎないよう気をつけてくださいね。
自分と重ねて怖くなってきたら、
観ないでくださいね。
さて、どんな映画なのか。
(ほとんどネタバレですので、
もし、ご覧になる場合は読まない方が良いかも)
記憶が曖昧なので、
解釈が違うかもしれませんが、、、
主人公(女性。シングルマザー)はお産のときにご主人を亡くしてしまいます。
病院に向かっている途中で事故に遭ってしまうのです。
そして今。
一人息子は7歳くらい。
主人公は病院で働いています。
息子は夜になると
「怪物がいる」みたいなことを言って、
目を覚まし、
お母さんは(主人公のこと)一緒に戸棚を開けたり、ベッドの下を見てあげたり。
一度起きてしまった息子は寝れなくて、
お母さんは絵本を読んであげて、
眠るまで付き合ってあげます。
毎日。
朝は朝で、
その息子は
怪物退治のための武器を
「やめなさい」と言っても聞かずに、
家で振り回して、
たまたま
ガラスを割ってしまいます。
お母さんは黙々とそれを片付けます。
(私なら叩いてしまったかもしれない)
そして
お母さんは息子を学校に送り、
仕事に向かいます。
職場に電話が入ります。
学校からの呼び出しです。
息子が怪物退治の武器(ダーツの矢が飛ぶ)を持って行っており、
クラスの女子を怖がらせたと。
このようなことが何度もあり、
先生は手を焼いています。
そして、学校に通えなくなる結果となり。
その帰り、
主人公は
妹と
その妹の娘(多分息子と同い年)と待ち合わせをして公園で遊びます。
妹から、
今まで子供たちの誕生日は一緒に祝っていたけど、
今年は合同で出来ないと言われてしまいます。
学校での一件があった後なので、
とても辛い思いをします。
妹とゆっくり話をしたいのに、
息子は
「ママ!ママー!」と呼び、
無視して話してる間に、
すごく危なく、高いところに登ってしまっていて。
場面は変わり、
息子は車の後部座席で叫んでいます。
(多分、叱られたのでしょう)
もうウンザリ。
そして、夜はまた主人公は息子に起こされて、、、
でも、ちゃんと起きて一緒に怪物がいないか確認して、
絵本も読んであげるんです。
(この主人公はとてもいいお母さんなんです)
ここでは書ききれないほど、
とにかく息子に手がかかります。
それでも、主人公は
グッと堪えるんです。
育児も家事も仕事も全部一人でやるしかなくて、
ボロボロに疲れながらも、
息子に不自由させないように
きちんと生活しているのです。
でも、
息子はお母さんの心身の疲労なんてお構いなしです。
主人公は本当にいい人なんです。
でも、
妹が離れ、
学校にも行けなくなり、
職場の信頼も失う事件があったり、、、、。
主人公はどんどん孤独になります。
何も悪いことなんかしていないのに。
むしろ、ものすごく頑張っているのに。
そんな時、
息子が
「これ読んで!」と
「ババドック」という絵本を見つけ出してきます。
見ただけで不気味だから、
主人公は違うやつにしようと提案しますが、
もちろん息子は読んで!の一点張り。
(この子役さん
天才的に演技がうまく、
すでに私はこの息子に超ムカついてしまいましたが、
私には大きな愛で
受け止める力もないということなのだと思います。)
それは、
「お前の中に入って命を奪ってやる」というような気持ちの悪い本でした。
息子は怖がって、
「ババドックが来る!」と言って、
さらにややこしくなります。
息子は
ババドックの話をして、それを馬鹿にされて、
妹の娘を木の上から突き落として、
鼻を骨折させてしまうという事件も起こしてしまいます。
主人公は妹からも責められ、
ほんとに孤独になってしまいます。
帰り道、
息子は車で叫び倒して(叱られたんでしょう)、めちゃくちゃうるさいのですが、
なんとか運転していたら。
息子は痙攣を起こします。
もう、主人公は疲れ果てます。
病院からの帰り道、
運転中、
あまりにボーッとして
逆走してしまい、
衝突事故を起こしてしまいます。
ここから
異変が出始めるのです。
そして、主人公には
ババドックの声が聞こえるようになってきます。
もし、この映画を観ているのが
男性なら、
ババドックが来る恐怖が
怖かったと思うのですが。
違うのです。
もっと怖いのは主人公です。
主人公がベッドに寝ていると、
息子は
「お腹空いた!お腹空いた!」
としつこく言ってきます。
主人公も
最初はなんとかあしらってたんですが、
息子はしつこい。
(息子も食べてないからお腹が減っています)
その時です。
今まで何とか堪えてきていたものが爆発したのでしょう。
「うるさい!
お前のクソでも食ってやがれ!」
これ、主人公の言葉です。
息子は凍りつきます。
ここから主人公の暴走が始まります。
ババドックに乗り移られたというのでしょうか。
あれだけ面倒だった息子が
まともに見えます。
主人公は
絶対に言ってはいけないような言葉を
息子に向かって言いまくります。
そして、
とうとう息子を殺そうとしてしまいますが、
息子は最後までお母さんを好きなのです。
最後の最後は
息子の愛で目を覚ます、、、というか、
映画を観て頂けたら感じ方はそれぞれかもしれませんが。
映画的には
ババドックという怪物が
主人公に乗り移って子供を襲うというホラーだったのかもしれません。
ただ、
監督は女性なのです。
この方は育児経験者のように思いました。
育児の大変さをとても上手に表現してくれている。
もしかしたらこれは、
世の中の女性のために作ってくれた映画なのではないか?とも
思ってしまいました。
最後のセリフとか
なかなか響きます。
主人公は
「負けない!」
とおかしくなってしまっている中で、叫ぶのです。
こんな大変な環境だけれども、
こんな厳しい生きる条件だけれども。
「わたしは負けなーーーーい!!!」
と叫ぶのです。
これは息子のおかげであり、
そして、
主人公は
ババドックに勝ったのです。
そうしてもとの主人公(優しいお母さん)に戻りました。
でも、本当にギリギリの話です。
場合によっては二度ともとのお母さんに戻れてなかったかもしれない。
そこまで追い込まれていました。
自分だって辛いのに、
必ずお子さん最優先で
自分の気持ちも何もかも我慢したらダメだ。
もっとわがままに、
もっと短気な時があっても良いのではないか?
最近は怒らない育児なんかが流行っているけど、
あまりに子供を優先しすぎたり、
お母さんばかり我慢するのが当たり前みたいな世の中の感じに、
私はどうかと思っています。
私たちはお母さんだけど、
一人の人でもあるのです。
嫌なことも、腹が立つこともあります。
例えそれが我が子であっても。
それを周りがとやかく理想論を押しつけてくる。
そんな人にほど、この映画を観て欲しい。
育児って
意識してなくても、
全身全霊使って
お母さんはクタクタになりながら
頑張りたくなくても、
頑張らないといけない状況に追い込まれているんだ!
そんなことを考えさせられた映画でした。
そして、この映画を観た夜。
私は家事を終えて、
やっと自分の仕事(看護学校の授業の準備)をしようと、
布団の上で本を読んでいる
可愛い息子の隣に座りました。
「柔道してくれ」(息子)
嘘やろ。
なんでこのタイミングなん。
やっと私の時間やのに。
あんた、今まで好きにやってたやんか。
無理したらあかん。私。
これこそ、ババドックが来る!
「嫌や。」(私)
「いいやんか、3本勝負」(息子)
「はぁ?3本? 絶対に嫌や!嫌!」(私)
「お願い、お願い!!」(息子)
めっちゃしつこい。
主人に頼みたいけど、
さっき帰宅したばかりで食事中。
なんで私が母親と父親の役割をしなくちゃならないんだ、、、、
ちくしょう。
仕事して帰ってきたら、
お風呂沸いてて、
ご飯出来てて、
洗濯は畳み終わってて、
部屋もそれなりに片付いている。
羨まし過ぎる。
でも、ゲーマーの息子がちょっとでも身体を動かそうとしてる。
この機会を逃してしまうのは
後で後悔するかもしれない。
「一本勝負だけやで!」(私)
私は痛い腰をかばいながら立ち上がりました。
とっとと勝って、
勝負つけてやる。
そして、布団の上で柔道が始まりました。
今までは余裕だったのに、
久しぶりに対戦すると、
息子が強くなっている。
今日は腰も痛いから力も入りにくい。
でも、元柔道部としては負けたくない。
「グラッ」
布団が滑り、バランスを外したその時。
「グニュ」
なんと、私の膝が
息子の
急所に当たり、そのまま体重をかけてしまったのです。
もう、45歳。
ダメだと思っても
そのまま転がってしまうのです。
グニュッは
息子のタマタマが奥に入っていった感覚。
息子はうずくまっています。
声を出さずに涙を流しています。
苦しくて咳もでます。
可哀想な息子よ。
本当に痛そうだ、、、。
話はずれましたが、
ババドックという映画は私にとって
とても印象深い映画となりました。
私は主人公のように優しくもなく、
忍耐強くもなく、
息子よりも自分を優先したりするので、
ババドックに乗り移られることはないとは思うのですが。
それでも、やっぱり
気づかないうちに
子供や家族を最優先して心身を削っていることもあるように思います。
私の場合は
家族に対して些細なことでイライラしてしまうのがそのサインです。
前ならそれでも頑張りきっていたのですが、
そうすることで、
ババドックを呼び寄せてしまうのかもしれない。
だからやっぱり、
無理してでも、
頑張らないように気をつけようと心に誓いました。
そうです。
無理をしてでも、
頑張らないんです。
そうじゃないと、
どうしても頑張らないといけない状況もあるからです。
どうしても頑張らなくて良いとこは
意識して、
頑張らないと決めないと頑張り続けてしまいます。
「頑張るしか方法がない」と思っていた頃。
私は凄く苦しかった。
カウンセリングとか何度も受けましたよ。
私は自分がおかしくなりそうで、
家族を壊してしまいそうで、
自分が怖かったし、
とにかく変わりたかった。
もし、自分が変われないということは
自分では正しいと思っている方法が
違うということなんです。
ババドックの主人公も
ラストは
となりのおばあちゃんに息子を預けて仕事に行っていました。
一人で頑張らずに
人に頼ることを受け入れたのです。
主人公も息子も表情が明るく、
とても落ち着いていました。
人それぞれ状況も、
条件も、
環境も違います。
でも、それを言い訳にしていても
何も変わらないし、誰も変えてくれません。
私は5年ほど時間はかかりましたが、
「自分が変わるしかない」
ということが
複数名のカウンセリングを受けてみて
わかりました。
アドバイスを素直に実践しようと行動を変えたことで、
私はずいぶんと楽になれました。
とは言え、まだまだ
「頑張れ」
が蔓延する世の中。
ババドックの声が聞こえないように、
注意して、
頑張りすぎないようにしたいものですね。
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